触指 4
- 2014/10/12
- 21:21
“俺はチョン・ユンホ
よろしく“
後にそう名乗ったその人は
突然俺の目の前に現れ
アイツの卑劣な行為から颯爽と俺を救い出してくれた
これは犯罪行為なのだから泣き寝入りなどせずに
警察に突き出すべきだ、と
そう言われたけど
男のくせに痴漢の被害に遭っていたなんて
誰にも知られたくなくて頑なに首を横に振る俺の意思を尊重し
俺をアイツの視線から守るようにその背に庇い
相手を険しく糾弾してくれた“チョンユンホ“さん
初対面なのに
チョンユンホという人物がどんな人かも知らないのに
その凛とした背中が醸すオーラはすごく頼り甲斐があって
この人がいれば大丈夫…と
何故か
無条件でそう思えた
「もしまた彼に何かしたら
その時は容赦しない
わかったか!」
最後に彼は強い口調でそう言い放ち
自らの悪事が白日の下に曝され
顔面蒼白で茫然と立ち尽くすアイツをその場に残し
駅を後にした俺達は
人通りの途絶えた住宅街をふたり並んでゆっくり歩く
「あ…の…
ありがとうございました!
恥ずかしい話なんですけど
俺ずっと…」
「知ってる」
「え?」
「何となく様子がおかしかったから…
ずっと気になってたのに
あの人混みで
なかなか近付けなくて」
「え…ぁの…」
何かを悔やむように
眉間に深い皺を寄せた後
申し訳なさそうに俺を見つめる彼の眼差しにドキリと胸が躍る
「もう少し早く気付いてれば…」
「い…いえ!!
そんな事ないです!
あのッ
助かりました!
本当にありがとうございます
あなたが助けてくれなかったら…俺……」
今頃
どうなっていたか……
その先を考えると
恐ろしくて
自然と身体が震えた
出来る事なら
もう二度と電車になんて乗りたくない
また
あんな目に遭ったら…
そう思うと
怖くて仕方ない
そんな俺の怯えを感じとったのか
不意に抱き寄せられ
ビクリと身体を跳ね上げた俺の背を
ポンポン…と優しくあやすように彼の手が触れる
「ヨシヨシ
もう怖くないから大丈夫
また今日みたいな事があっても
俺が守ってあげるよ」
「あ…なた…が?」
なんで?
どうして?
初対面の人間に
なんでこんな風に優しく出来るんだろう…
俺が痴漢されてたから?
そんなに…俺
頼りなさそうにみえる?
…って実際
確かに
俺の中には
またあの電車に乗らなきゃいけない事に対しての恐怖心はあるけど
この人に守ってもらう理由が…ない
そう思いながら
彼を伺うように腕の中から上目遣いに見上げれば
彼は
一瞬驚いたように目を見張り
そして
少し困ったように眉尻を下げ俺を見つめて
「俺はチョン・ユンホ
よろしく」
徐に自分の名前を名乗る
「え…あ…あの」
「君は?」
「キ…ム…ジェジュン」
彼の意図が見えず
目を瞬きながら
俺もまたたどたどしく自分の名前を口にすれば
彼は嬉しそうに俺を抱きしめたまま
「キムジェジュンか
良い名前だな
さて!キムジェジュン
自己紹介も終わった事だし
これで俺達友達だろ?
友達なら
友達が困ってる時に助けるのは当然だよな」
そう言って
屈託のない笑顔を向けて笑って見せた
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よろしく“
後にそう名乗ったその人は
突然俺の目の前に現れ
アイツの卑劣な行為から颯爽と俺を救い出してくれた
これは犯罪行為なのだから泣き寝入りなどせずに
警察に突き出すべきだ、と
そう言われたけど
男のくせに痴漢の被害に遭っていたなんて
誰にも知られたくなくて頑なに首を横に振る俺の意思を尊重し
俺をアイツの視線から守るようにその背に庇い
相手を険しく糾弾してくれた“チョンユンホ“さん
初対面なのに
チョンユンホという人物がどんな人かも知らないのに
その凛とした背中が醸すオーラはすごく頼り甲斐があって
この人がいれば大丈夫…と
何故か
無条件でそう思えた
「もしまた彼に何かしたら
その時は容赦しない
わかったか!」
最後に彼は強い口調でそう言い放ち
自らの悪事が白日の下に曝され
顔面蒼白で茫然と立ち尽くすアイツをその場に残し
駅を後にした俺達は
人通りの途絶えた住宅街をふたり並んでゆっくり歩く
「あ…の…
ありがとうございました!
恥ずかしい話なんですけど
俺ずっと…」
「知ってる」
「え?」
「何となく様子がおかしかったから…
ずっと気になってたのに
あの人混みで
なかなか近付けなくて」
「え…ぁの…」
何かを悔やむように
眉間に深い皺を寄せた後
申し訳なさそうに俺を見つめる彼の眼差しにドキリと胸が躍る
「もう少し早く気付いてれば…」
「い…いえ!!
そんな事ないです!
あのッ
助かりました!
本当にありがとうございます
あなたが助けてくれなかったら…俺……」
今頃
どうなっていたか……
その先を考えると
恐ろしくて
自然と身体が震えた
出来る事なら
もう二度と電車になんて乗りたくない
また
あんな目に遭ったら…
そう思うと
怖くて仕方ない
そんな俺の怯えを感じとったのか
不意に抱き寄せられ
ビクリと身体を跳ね上げた俺の背を
ポンポン…と優しくあやすように彼の手が触れる
「ヨシヨシ
もう怖くないから大丈夫
また今日みたいな事があっても
俺が守ってあげるよ」
「あ…なた…が?」
なんで?
どうして?
初対面の人間に
なんでこんな風に優しく出来るんだろう…
俺が痴漢されてたから?
そんなに…俺
頼りなさそうにみえる?
…って実際
確かに
俺の中には
またあの電車に乗らなきゃいけない事に対しての恐怖心はあるけど
この人に守ってもらう理由が…ない
そう思いながら
彼を伺うように腕の中から上目遣いに見上げれば
彼は
一瞬驚いたように目を見張り
そして
少し困ったように眉尻を下げ俺を見つめて
「俺はチョン・ユンホ
よろしく」
徐に自分の名前を名乗る
「え…あ…あの」
「君は?」
「キ…ム…ジェジュン」
彼の意図が見えず
目を瞬きながら
俺もまたたどたどしく自分の名前を口にすれば
彼は嬉しそうに俺を抱きしめたまま
「キムジェジュンか
良い名前だな
さて!キムジェジュン
自己紹介も終わった事だし
これで俺達友達だろ?
友達なら
友達が困ってる時に助けるのは当然だよな」
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